2025/09/05
【コラム】大天狗酒造ー 「地酒は土地のエネルギー」という信念
吉兆の印・天狗の面から始まった酒造りの歩み
かつての奥州街道の宿場町、その名残がそこかしこで見受けられる本宮市。歴史と美しい自然に彩られたこの街の風景に、明治時代から残る木造りの酒蔵はしっくりと馴染んでいます。
この街に唯一残る蔵元「大天狗酒造」の目印は、駅前にそびえる古い煙突。かつては倉庫業を営んでいたという同社が酒造へと事業転換するときに、倉庫で預かっていた荷物を整理していたとき、2つだけどうしても引き取り手の現れない行李があったとか。中を開けてみると、そこには堂々たる天狗の面が2つ。これを吉兆として社名に残したことが、大天狗酒造の始まりでした。
今も蔵人による伝統的な手作業によって、少量の良質な日本酒を作り続けているという大天狗酒造。「地酒は、その土地のエネルギーのようなもの。大天狗酒造のお酒は、地元の文化そのものだと考えています」という、杜氏・小針沙織さんの言葉には、この蔵が酒造りに向き合うときの信念がストレートに表現されています。
大天狗酒造のお酒の90%は地元の本宮市で消費されます。特に地元の安達太良神社の秋の大祭では、地元唯一の地酒として欠かすことができない存在。地元の人達が“自分たちの酒”として愛し、誇りにしている地酒の味を守るべく、蔵人たちの絶え間ない努力の日々が続いているのです。
そんな“地元”へのこだわりは、酒造りの原材料にも表れています。米は主に市内の契約農家から福島県産の「夢の香」を仕入れ、仕込み水は名峰・安達太良山から湧きだす雷神清水の伏流水。醪づくりには同じく福島県産の「うつくしま煌酵母」や「うつくしま夢酵母」を使用して、徹底した地元の味を追求しています。
そうして作られた大天狗酒造のお酒は、辛口でさっぱりした後味が特徴。いつまでも飲み飽きることがなく、長年本宮市の人たちから愛され続けるお酒です。
酒造りの新しい可能性を追求することも忘れない
長年受け継いできた伝統の技を重んじる大天狗酒造ですが、時代に合わせた酒造りを学び、挑戦を続けることも忘れてはいません。
現在の杜氏の小針沙織さんは、実家の酒蔵で働き始めると同時に「福島県清酒アカデミー職業能力開発校」に入学し、最新の酒造りについても学びました。酒の味や香りを科学的に研究し、データによって分析する手法は、若い小針さんを大いに刺激しました。
酒蔵の名前を冠したブランド「大天狗」に加え、2017年には小針さんが杜氏として開発した新銘柄「卯酒」も販売を開始。ほんのり甘酸っぱい純米吟醸酒で、春夏秋冬の四季に合わせて酒質が変わるのが、このシリーズの魅力です。
ラベルのモチーフとなっている愛らしいウサギは、幸運の象徴。天狗の面を吉兆の印としてスタートした酒蔵の、新しい時代の“顔”となっています。地酒としての本質と伝統は守りつつ、常に新しい可能性も追求する。その姿勢こそが大天狗酒造が長い時代を越えて愛されてきた理由といえるでしょう。
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大天狗酒造 | 森株式会社 公式オンラインショップ